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扁桃腺の症状や治療、手術方法などについて説明しています

扁桃腺

扁桃腺とは、喉(のど)の周辺で、病原菌が体内に侵入してこないように守っている組織です。これまでは扁桃腺とよばれていましたが、腺ではないので「扁桃」が正しい名前です。扁桃には、口蓋扁桃(こうがいへんとう)、舌扁桃(ぜつへんとう)、咽頭扁桃(いんとうへんとう=アデノイド)、耳管扁桃(じかんへんとう)などがありますが、なかでも口蓋扁桃は大切で、一般に扁桃と云えば口蓋扁桃を指します。
口を開くと上顎の奥の方の、のどちんこの付け根の両側にあるかたまりが口蓋扁桃で、この口蓋扁桃に炎症が起きた状態が扁桃炎です。「扁桃腺をはらした」という状態はのどちんこの両脇にある『口蓋扁桃』がばい菌感染により炎症をおこし、うみがついたり、腫れたりした状態を言います。大体2〜3歳から扁桃腺を腫らすようになり、1番大きくなるのは6〜9歳で、ちょうど小学校の低学年の時にあたります。

扁桃腺炎は、肺炎球菌、溶血連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌などのいつも喉にすんでい る常在菌が、感冒や過労で増殖して口蓋扁桃や周囲咽頭に感染を起こすことをいいます。大半がかぜのウイルスが感染していて、のど全体が赤くなっていることが多く、扁桃腺がよく目立つので、扁桃腺炎といわれることが多いのですが、実際には扁桃腺だけが悪いという場合は少ないです。

急性扁桃線炎と慢性扁桃線炎

扁桃腺炎には、急性扁桃線炎慢性扁桃線炎があります。扁桃腺炎は、細菌感染による腫れで、扁桃腺が赤く腫れ、表面に膿がついた状態になります。急性扁桃腺炎はさらに奥にある扁桃腺に炎症の腫れが及ぶと扁桃腺周囲炎となり、扁桃腺周囲炎の状態で膿がたまると扁桃腺周囲膿瘍になりかなり腫れます。原因菌は溶血性連鎖球菌が多いとされ、これ以外では黄色ぶどう球菌や肺炎双球菌、およびウイルスによるものが明らかになっています。誘因としては暴飲暴食や過労、のどの乾燥などがあげられ、病院で血液検査をすれば白血球数の増加とCRP値(炎症の程度を示す検査値)の上昇が認められ、細菌検査をすれば一般的には、発生原因となった菌が検出されます。

扁桃周囲炎は、急性扁桃炎が治りかけたころに手当てを怠ると悪化しやすく、高熱と激しいのど の痛み が伴います。片側の口蓋扁桃の上の部分に膿ようができて化膿し、赤くはれあがり、口臭も強く なり、一方、慢性扁桃炎は、年に何回も扁桃炎(扁桃腺)を繰り返し、高熱を出します。扁桃のくぼみの中に細菌が蓄積されており、これが原因で全身感染を起こすこともあります。
急性扁桃炎は、急性咽頭炎と一緒に発症し、のどの炎症が特に激しいものを言い、急に39−40度の高熱がでて、頚部リンパ節腫張(首のリンパ節が腫れる)、(中耳炎が併発すれば)耳痛、関節痛などがの症状が現れます。この急性扁桃炎が慢性化したのが慢性扁桃炎です。慢性扁桃炎には突然急性化の症状を示す場合があるが、これが1年に3−5回繰り返す場合を特に習慣性扁桃炎と呼びます。習慣性扁桃炎では、病巣感染といって関節や腎臓、皮膚など、ほかの場所にも病気が起こってくることがあります。

扁桃腺の治療

急性扁桃炎はペニシリンなどの抗生物質で適切な治療をおこなえば、約1週間でなおります。急性扁桃炎が慢性化したものが慢性扁桃炎ですが、これが急性の症状を年に3−5回起こすようになることを、特に習慣性扁桃炎といいます。習慣性扁桃炎では手術をすることがあります。それは病巣感染という、関節や腎臓、皮膚など他の場所に病気が起こる可能性が出てくるからであり、怖いのは関節では関節リューマチ、腎臓では腎炎やIgA腎症などの合併症です。

治療には、解熱鎮痛剤を使い、併せて適切な抗生物質の内服あるいは点滴注射を行います。これにより原因となった細菌を制圧することによって速やかに治癒に向かいます。 薬はペニシリン系の抗生物質が使用される事が多いのですが、一年に4回以上扁桃腺を腫らす『習慣性扁桃炎』のような場合、手術をすすめられる場合があります。扁桃腺が大きい子供の場合はアデノイドが同時に大きく、さらに滲出性中耳炎を合併していることが多いので、手術でアデノイドも同時にとることになります。扁桃腺をとるとほとんどの子どもが元気になり、食事がすすむようになり、風邪をひきにくくなることが多いので、鼻科の専門医に相談すると良いでしょう。