うつ病(鬱病)とは
近年、仕事や生活のストレスが原因でうつ病になり、精神科にかよう患者さんが増えています。うつ病で重要なことは、まずは自分がうつ病であることを認めること。そして、うつ病という病気の正しい認識も必要です。うつ病は決して恥ずかしがる病気でも治らない病気でもなく、適切な治療を早期に行えば、早ければ数ヶ月から1年ほどで回復するものです。 うつ病は「心のかぜ」ともいわれていますが、これは早期治療をすることで回復するからなのです。また抗うつ剤も相当程度の効果があり、特に早期に治療すれば、ほとんどのうつ病は治ります。
うつ状態に加えて躁状態も生じる場合には、躁うつ病と呼ばれます。これに対して、うつ病を繰り返し生じる場合には、反復性うつ病と呼ばれます。躁うつ病と根本的には同一の疾患であるとされていて、一方、再発のないうつ病は、単一エピソードうつ病と呼ばれ、躁うつ病とは異なった疾患であると考えられています。
うつ病(鬱病)の症状
まず感情面では憂鬱感が主な症状です。「憂鬱」「落ち込んでいる」といった感情が、午前中にひどく午後から夕方には回復してくるといった「日内変動」という特徴があります。何事にも興味を失い、日常の活動をしたくなくなります。自分に価値がないと思い込み、自責感、絶望感、無力感におそわれるというのもうつ病の症状です。今まで好きだったことに打ち込めなくなったり、新聞を読んだりテレビを見る気力がなくなる、仕事(会社)に行きたくない、何をするにもおっくうといった症状です。
うつ病の体に出る症状としては、不眠、食欲不振、便秘、性欲の減退、月経不順などがあり、精神症状が現れず身体症状だけを訴えるものを仮面鬱病といいます。経過は数週間から数ヵ月で寛解しますが、数年にわたるケースもあります。
うつ病経験者のうち4分の1しか医療機関を受診しないという報告があり、治療の遅れがうつ病を重症化させてしまうのです。うつ病の場合、初期の頃は誰も自分をうつ病とは思わないし、無理すれば普通に生活できるため、せいぜい病院に行っても内科を受診してしまいます。そして「異常がない」「原因が分からない」「気のせい」といった診断をされ、そこでまた無理をして、うつ病を悪化させてしまうという傾向があります。
うつ病(鬱病)の治療
うつ病治療の基本は、薬物療法と十分な休息をとることです。うつ病の患者は、何らかの原因によりセロトニンとノルアドレナリンという神経伝達物質が減少しています。これらの物質によって、気分や意欲、食欲、記憶といったものが神経に伝達され、それでわたしたちの気持ちが活性化しているわけです。
うつ病の薬物療法は、ノルアドレナリンやセロトニンの量の正常化を促すために使用されます。現在では副作用が少ないSSRI、SNRIというタイプの抗うつ薬が使用されています。よくうつ病と間違われやすい病気に慢性疲労症候群があります。しかし慢性疲労症候群の場合は、6ヶ月以上続く重
篤な疲労があり、リンパ節の腫大と痛み、喉の腫や渇き、免疫学的な異常がみられるなど、うつ病とは異なる症状があります。