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大腸がんの症状や治療方法などについて説明しています

大腸がん

日本では毎年9万人もの人が大腸がんになっています。がんが日本人の死亡原因の第1位となったのは昭和56年のことで、以来がんによる死亡者数は一貫して増え続け、日本人の3人1人はがんで死亡しています。男女とも大腸がんの増加傾向が目立っており、女性の場合は平成15年に初めて胃がんを抜いて、大腸がんががんによる死因の第1位となりました。大腸がんができやすい部位は直腸、S状結腸、上行結腸、横行結腸、盲腸、下行結腸の順で、直腸とS状結腸で全体の70%をしめています。

大腸がんの症状

早期大腸がんは無症状で、しだいに大きくなると,新鮮血の排出、粘血便、便秘や下痢、ときに便秘と下痢が交代にみられる便通異常、腹痛などの症状があらわれます。
大腸がんの代表的な症状は血便と下血です。血便とは便に血がついていたり、排便後に少し出血するなど、目で見てわかる血が便と一緒にでることをいいます。
一方下血は血だけがでる状態です。どちらも真っ赤な血がでたり、どす黒い血がでたりします。痔の場合は真っ赤な血が排便時にぽたぽた落ちたり、紙に付着したりするのに対し、がんの場合は血が便の表面に付着していたり、便と混ざっていることが多いようです。血便などがある人は必ず精密検査を受けるようにしましょう。

大腸がんの検査

便潜血検査
人の血液に含まれるヘモグロビンを検出する検査です。この検査で陽性になるのは進行がんで約75%、早期がんで約50%といわれています。検査の精度をあげるために、日を変えて2回おこなうことが推奨されています。早期の大腸がんは出血しないことも多いので、便潜血検査が陰性だからといっても 大腸がんではないといいきれません。陽性の場合は大腸がんの精密検査を必ず受けて下さい。

直腸指診
指手袋をつけた医師が人差し指を肛門から直腸内に挿入して、直腸内の異常の有無を調べる検査方法です。

肛門鏡、直腸鏡検査
肛門鏡や直腸鏡を肛門から挿入して直接観察する検査方法です。

大腸内視鏡検査
肛門から入れた内視鏡で大腸の内部を観察する検査方法です。

内視鏡超音波検査
内視鏡の先端に超音波を発する器具を装着し、それを肛門から直腸内に入れた後、出し入れさせながら観察する方法です。

大腸がんの手術

手術前に転移がないと判断されれば、治癒切除が選択され大腸と周囲のリンパ節を切除します。 結腸のがんに対しては半結腸切除、S状結腸切除などの術式が選択され、切除部分はつなぎ合わされ ます。しかし、肛門に近い直腸の手術の場合は、がんの切除の際に人工肛門を造らなければならない 場合があります。これは直腸が肛門に近いために切除後の腸をつなぎ合わせることができないからです。

手術前に転移を認めた場合は、転移巣の数や場所によって転移巣をふくめた切除の可否が判断 され、可能ならば原発巣と転移巣を一緒に切除します。転移巣が切除不可能な場合は、原発巣を切除し手術後に転移巣を化学療法で治癒します。大腸がんの手術は、がんの位置、進行度によって適応、術式が異なり、術後の生活に大きな制限を伴う人工肛門の増設などが必要な場合もあります。