病気ネットナビ

睡眠時無呼吸症候群の症状や治療法などについて詳しく掲載しています。

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群とはSAS(Sleep Apnea Syndrome)ともいい、「睡眠時」に「無呼吸」状態になる、睡眠障害の1つです。 扁桃肥大や鼻閉などによってのどがふさがり、肺に空気がスムーズにはいっていかなくなって睡眠時無呼吸を生じる閉塞(へいそく)型、中枢神経系の病気により横隔膜などの呼吸筋が活動を停止して無呼吸が出現する中枢型、これら2つの混合型、と3タイプに分けられ一番多いタイプが閉塞型です。
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中、筋肉が緩み、上気道壁の軟部組織もたるんで気道狭窄を起こします。特に仰向けの姿勢で、口で呼吸をするときは、気道狭窄がいっそうひどくなり、このような状態で生じるのがいびきです。肥満が加われば、症状はさらに増強します。「無呼吸」とは10秒以上の呼吸停止と定義され、この無呼吸が1時間に5回以上、もしくは7時間の睡眠中に30回以上ある場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。日本では成人(30〜60歳)の約1〜2%に見られ、男性に多いといわます。
睡眠が分断されたり浅くなるため、日中の強い眠気、熟睡感がない、集中力の低下などが起こります。 一般的には肥満で首の太い人に多く、ほとんどが強いいびきを伴います。また、睡眠中の体動、窒息感を伴う覚醒、倦怠感、知的活動の低下、性格変化、性的機能低下、夜間頻尿なども起こります。 睡眠時無呼吸症候群の症状ははげしいいびきが特徴で、途中覚醒もしばしばおこり睡眠不足になりやすくそのため、起床時に頭痛をがしたり、昼間の強烈な眠気のため、致命的な事故を引き起こすことがあります。また、無呼吸による慢性の酸素不足は心臓や肺に負担をかけ、肺高血圧、不整脈、心不全、脳障害などをひきおこすことがあります。

交通事故を起こしたり、また、新幹線の運転手が居眠りのため停車駅を通過してしまい、居眠りの原因が睡眠時無呼吸症候群だったという事件も、この病気によるものとして有名になりました。 また、スペースシャトルのチャレンジャーの打ち上げ直後に爆発した事故も、整備作業員の睡眠時無呼吸症候群の眠気による作業ミスによる事故だと言われています。

睡眠時無呼吸症候群の治療法

「CPAP療法」
睡眠時無呼吸症候群に用いる装置で頭部固定のゴムマスクを鼻に装着し、ポータブルのコンプレッサーを使用して気道に空気を送り込み圧力を高め、気道を広げておく療法です。睡眠中に使用します。睡眠時無呼吸症候群の治療法として確立しており、高血圧などの合併症の予防、改善効果があると立証されています。全世界で睡眠時無呼吸症候群の治療法としてもっとも普及している方法です。この療法で、心疾患の予防や死亡率を減らすことができます。
「マウスピース」
「マウスピース」とは、上あごと下あごが固定したマウスピースを使用し、下あごを上あごより前に固定することで気道の面積を広げ、機動の閉塞を防ぎます。持ち運びが簡単で便利ですが、効果には個人差があり、一般には軽症の患者さんに用いられます。居眠り運転の危険があるような重症患者にはCPAPが優先されます。
2004年度から健康保険が適応になり、中度以上の無呼吸症と診断され、毎月一度通院が可能である場合に保険が適用されます。
「生活習慣の改善」
太っている方は減量により、首の周りの脂肪が減って、無呼吸が軽減されます。日ごろから運動を心がけ、食生活にも気をつけましょう。また、アルコール・タバコは起動を弛緩させるため、病状が悪化します。なるべく減らしましょう。睡眠薬の服用は、無呼吸を悪化させるものがあります。医師に相談の上処方してもらいましょう。
「外科手術」
咽頭や喉頭の閉塞する部位を手術によって切り取る方法です。閉塞する部位によって、有効な場合は、手術が適用される場合がありますが、成人の場合は、責任部位が明確でないことが多く、また肥満を合併されているケースも多いため改善が十分得られない場合も多く、慎重に選択されるべきでしょう。 最近ではレーザーを当てて、部位の組織を小さくする方法もあります。